JRの券売機に行かなくなって、もう一年ぐらいは経つだろうか。

SUICAと呼ばれるカードに入金しておいて、それを改札の機械にタッチして通るやり方である。（地方ではまだまだ導入されていないようなので、イメージしにくいかもしれません）

携帯電話にこの機能が付加された新製品携帯電話の製品テストが行われて、多くの機種で不合格だったというニュースがあった。

それによると、「朝のラッシュ時を想定し、一分間に六十人がスムーズに通過できること」が要求されたのだそうだ。
「何度かやりなおせば通れる、というのでは認められない」というコメントと共に紹介されていた。

すばらしい、このこだわりこそが日本である。

私が経験してきたどの国の自動改札機にも、一秒に一人を処理はできそうなものはない。パリもロンドンもミラノも、日本の自動改札のスピードに慣れた目には、実にのんびりした機械に見えてしまう。

歩くスピードを落とさないで通れる事、なんて始めから想定してもいない。

今、いろいろな日本的価値観が揺らいでいるように見えるが、こういった無意識に飛びぬけて几帳面な感性は、そう簡単に劣化する事はないだろうと、少々安心した。