しばらく前に「ハッサンはいずれ帰る」という話を「通信」で書いた。

今回ひさしぶりに、そのハッサンが働いているハイデルベルグのホテルへ泊まることになった。私が始めて出あったソマリア人。彼はどうしているだろう？

しかし、ホテルについても、彼の姿は見えなかった。夏場の忙しい時だけ手伝うのかもしれない。
「ハッサンはどうしてるの？」とホテルマンに尋ねてみる。

「彼、まだハイデルベルグにいるよ。一生懸命働いている。彼はFATHERになったんだ」
そうか、あの時同じソマリア出身の女性とドイツで結婚したと話していたっけ。その二人にドイツ生まれのソマリア人のこどもが出来たのだ。

この子にとって祖国はドイツ？ソマリア？
このままドイツで育っていくならば、彼が「帰る」国は、ドイツということになるのだろう。親の意識とは相当ちがう環境で育っていくのは間違いない。

こどもがそんな風にドイツ人になっていくと…ハッサンは、ソマリアに帰りたくても帰れなくなってしまうのではないだろうか。

2004年12月、ハッサンはまだドイツに居た。