いつも（というほどではないが）行っているジムで、外国人が「見学したいんですが（英語で）」と、受付に来ていた。

私は、たまたまその場に居合わせたのだが、スタッフに全く英語の出来る人がいない様子。で、あたふたし始めたので、「お助けしますか？（May I help you?ですもちろんん）」と、口を出してしまった。

ジムに登録する為の説明や、書類の記入などいろいろ手伝っているうちに、素姓も知れてきた。
彼は一週間前に日本にやってきたばかりだという。
ほとんど全く日本語は喋れない。カナダのノバスコシア出身の22歳。
「赤毛のアン」舞台になった島、プリンス･エドワード島の対岸といえば少しはイメージが湧くだろうか。

むこうでNOVAの面接を受けて、
英会話講師ということで一年間滞在予定ということ。
今はそういう講師ばかりの寮マンションにいるということ。
筋肉隆々なのは、ラグビーをやっていたからで、
日本でもラグビーできるところを探している。

私はNOVAというところに行ったことがないけれど、確かに最近この手の英会話スクールが、たっくさんある。つまり、たっくさん外国人講師が必要になっているということだ。
ジムのスタッフにきけば、他にもすでに二人はNOVAの講師が来ているのだそうだ。すでに、私の身近にもたくさんいるんですねそういう人達。

彼らは、とにかく英語を喋れるということで、日本に来た。
もちろん選抜はされているのだろうが、どの程度の英語を喋るのか分からない。

「どの程度」とは、どういうことか。
日本語を喋る人に、よい日本語、知的な日本語を喋る人と、そうでない人があるように、英語にだって、どんな言語にだって、いろいろなレベルがあるのである。

私の身近なある人が、本気で英語を習う必要に迫られて、よくある英会話学校へ行った。そこで出てきた講師は、もしろん英語が母国語であった。しかし、その講師は社会的な関心が薄くて（つまり新聞に出ている事などをあまり知らない）、会話していても、全然自分の英語が上達する気がしないので、講師変更してもらったそうだ。

ネイティブ講師と適当にお話する事だけで、
そんなに英語が上達するのだろうか？そりゃ、旅行先でちょこっと喋る程度にはなるだろうけれど、それだけのために月謝払うのは、もったいないくないですか？

今の日本であれば、英語なら、どんな方法だって学ぶ事ができる。NOVAに通っておられる方が、NOVAの講師に英語でこう質問されたそうだ。「なぜ、日本人はそんなに英語ばっかり勉強したがるんだ？」
ごもっともな疑問だと思う。

むしろ、この英会話ブームは、今日ジムで出会ったカナダ人のような人びとの為にある様に思われてしまうのだ。