
パリ滞在の一日。午前中ルーブル美術館二時間見学の後、自由行動の一日。朝食をしっかりたべたので昼食はとらずにオルセー美術館へ。
一年ほど前に改装してから初めて入った。ゴッホなど後期印象派の場所が移動。壁の色がシックな紺色になっているのは知っていたが、たしかにこの方が映える。美術館の壁が病院のような白でなくてはいけないということはない。
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今回オルセー美術館をひとりでまわっていて注目したのが、このブールデルのヘラクレスだった。
以前にも視界にはいっていたが、ちゃんとは見ていなかった。見たというのと、少しでも理解できたという事は違うのだ。そのフォルムの美しさが記憶にはあったが、ロダンがブールデルを解説する言葉を知って、はじめてこの彫刻の価値が認識できた。
ぼんやり「いいな」と思うだけでは、人に伝える理解は出来ない。
オルセー美術館の日本語イヤフォンガイドの内容は充実している。そこでロダンがブールデルの事を語った言葉を紹介している。
「私にとって大事なのはモデリングだが、ブールデルはフォルム・アーキテクチャーにそれを求める。私は筋肉の動きに感情を込めるが、ブールデルはスタイルの中にそれを表現しようとする。」
なるほど。この言葉を聞いてもう一度このヘラクレスを見ると、ロダンの言葉の意味がよくわかる。ロダンの作品のような細部のリアリティはこの作品には、ない。手や足や顔のひとつひとつにはロダンの作品に見られる雄弁さは感じられない。しかし、それがひとつに集約された時には、ロダンの作品にはなかなか見られない「勇壮な」雰囲気が生まれている。
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この作品はギリシャ神話の半神半人ヘラクレスが与えられた十二の試練のひとつに立ち向かうところ。ステュムパーリデスの怪鳥をヒュドラの毒を塗った矢で射ようとするところ。
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「この作品の最大の功労者は、九分間このポーズをとり続けたモデルだろう」と、オルセーの解説は述べておりました。