
小さな旅行会社をやっている友人が、「イイ旅のススメ」という本を出版し、送ってくれた。
「事後承諾ですみません(笑)」と書かれたメモがはいっていて、中で小松の事をとりあげてくれていた。
彼ははじめ電鉄会社に就職したが、カナダでガイドをやり、帰国後に大手旅行会社のアジア手配部門に配属された。
当時、その会社がはじめてモンゴルのツアーをやることになり、小松が行く事になったのだった。
・・・思い出す。
当時、モンゴルのような「辺境」の旅は、一部の特殊な旅行会社しかてがけておらず、大手旅行会社が少しお高い料金で催行するのに、何か違いをだす必要があった。
「ちょっとお金出してもいいから、なにかやってきてください」という話になり、調べていてみつけた「ホルホグ」という料理を実演してもらうことにした。羊一頭を河原へ連れていき、生きているところからさばいて、調理して食べる、というモンゴルの伝統料理だ。
これ以上ないような青々とした草原の中で行われる「儀式」。話に聞いた通り、神に敬意を払うために、大地に一滴の血も流さずに羊を扱っていく遊牧民の姿は神々しくさえ見えた。
雨は遠くからやってくるのがはっきりとわかった。再び太陽が射しはじめ、虹がかかると「虹の足」さえ見えた気がした。
はじめて眠ったゲル(丸い天幕)は、夏でもストーブが必要になる寒さだったし、すぐ外をごうごうと風が渡っていく音がきこえた。体を洗うのは水のシャワーしかなかった。
ゴビ砂漠からもどってきたら、待っているはずのバスはおらず、一般の路線バスを20ドルで無理やりチャーターした。
あれから二十年以上、いろんな旅をしてきたが、この1992年夏のモンゴルは忘れ難い。
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帰国後、この印象をなんとか伝えたい思いで作ったのが、この写真のアルバム。手配担当だった彼にもカラーコピーで渡した。
今回、本を送ってきてくれた彼は、その事をよく覚えていてくれたのだった。
★拡大してごらんください。どこかに「仮装」した二十年前の小松が映っております(笑)