小松の部屋には、国もしくはエリアごとに格納してある資料棚が三十ある。
ここに、現地で入手したいろいろな紙資料を保管しているのだが、近年 《手造の旅》で手掛ける場所の棚が足りなくなってきた。
そこで、これまで使ってここなかった棚を、おもいきって削減していくことにした。
小松が最初に訪れた国で、文化歴史に関して間違いなく一級の事物を持つ中国。1990年代までは、西の端カシュガルまで訪れたし、けっこうよく行っていた愛着ある国。
それでも、ここしばらくは、行くことはなさそうな情勢だ。資料も出番はなかろう。整理しはじめたら…いつのまにか古くなっていて、今はもう使えないと思われるシロモノになり果てていた。
パリならば10年前の地図でも解説でもまだ有効だろうが、中国など新興国の都市ではそうはいかない。
惜しまず、ばっさり捨てて、これからの旅造りに有効な資料に、場所をあけわたしてもらいました。