ルーブル美術館が所蔵する作品の中で最も重量が重いのがこの作品。船の形をした岩の上に乗っている。しかし、足のすぐ下の石は19世紀のただの台座。
このニケ像のために大階段半ばの踊り場は特別に頑丈につくられた。岩塊ごと展示してあるので、その重さに耐えられる場所でなければ置けないのだ。ルーブル美術館のシンボルであり、おいそれとこの場所から動かすことは出来ないのである。
顔や手がない。なので、胴体や羽は本物だと思っていた。しかし、右の羽は左のオリジナルから推察してつくられた19世紀のものだと、ガイドさんが説明してくれた。
さらに、これは別の機会に知ったのだが、像の茶色の色もまた、19世紀修復の過程で塗られたものだった。
古代の石像はきれいに彩色されていた事が分かっており、19世紀の修復でそれを再現しようと下地をぬりはじめた。しかし、「やっぱり色は塗らない方がよい」と途中で方針が変更されたので、作業途中で茶色のままに放置されてしまったって、今に至っている。