ニースを出発し、ヴェルドン渓谷へ向かう。ここは誰が言ったか「フランスのグランド・キャニオン」と称される。
※写真を拡大してごらんください。
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ニースから海岸沿いを行くと、ピカソゆかりのアンチーブ、ルノワールゆかりのカーニュ・シュル・メール、シャガールゆかりのサン・ポール、映画祭で有名なカンヌ、ナポレオン街道、などが次々に目に入ってくる。
フレジェスを過ぎ、印象的なロケブリュンヌの岩山が見えたらそこから山へ向かう。くねくね山道を登っていくと、いつしか路肩に雪が残っているのが見え始めた。
標高はそろそろ800mを超える。つい一週間前にはニースも雪でたいへんだったというから、この道はどんなだっただろう。すぐ近くの尾根も雪をかぶっている。
しかし、今日の天気は素晴らしい。気温は海岸よりずいぶん下がっているが、風もなく陽射しは暖かだ。comps sur artubyという村でトイレ休憩した後、いよいよ渓谷がはじまる。
道は狭いし雪が路肩に積もっている。対向車がきたらこの大型バスとどうやってすれ違えるのか?はらはらしながら登っていくが、幸いに一台の対向車にも合わず、かれこれ三十分は走っている。※あとからその理由は分かった
新しいコンクリート製のアルトゥビー橋を渡り、岩をくりぬいてつくられたトンネルを抜ける。すると、崖をえぐって建設された道が崖の上部をうねうねとからんで続いているのが分かる。はるか谷底に緑色のヴェルドン川の流れが見えている。
なるほど、このあたりの雰囲気がグランド・キャニオンと呼ばれる所以なのかもしれない。何度も写真撮影をしながらはらはらドライブを続ける。
標高、ほぼ千メートルの地点を過ぎて、道はくねくねしながらも、ゆっくり下りはじめた。あ、行く手に湖が見えだした。サン・クロワ湖だ。
湖を見晴らす場所に中世時代のものと思しき城と村が見えてきた。このあたりはアメリカのグランド・キャニオンにはない風景だ。資料を読むとこのエギュイーヌは古代にはカエサルもやってきたし、中世にはテンプル騎士団によって拡張された街なのだそうだ。
湖畔へ降り、対岸を三十分ほど走ると、「フランスの美しい村百選」にも選ばれているムスティエ・サン・マリーへ到着。昼食の後、この美しい村を歩くのが楽しそうな青空である。