写真上は、マンハッタン島の北部にあるアメリカ大統領グラント(50ドル紙幣の顔になっている人物)の墓。北米最大の廟なののだそうだ。
昨年12月にここを訪れた時、これとよく似た墓がパリにあるのを思い出した。それは、かのナポレオン一世のもの。写真下がそれ。両者のつくりは、大きさの差こそあれ同じコンセプトでつくられている。
さらに、建物の外観もそうだ。
グラント大統領は、南北戦争の英雄として民衆から絶大な人気があった。だからこそ専制君主でもないのにこんな墓を持つことができたのだろう。大統領在任中に汚職事件にまみれ、大統領としての評価が歴代最悪であっても、それとこれとは関係ない。
彼は大統領二期を終えた後、ヨーロッパを長く旅した。
グラントの半世紀前に生きた軍人として卓越した才能を持ったナポレオン先人のことは、きっと尊敬していたのではないだろうか。
パリで訪れたナポレオンの墓に感銘を受けて、自分の墓もこのようにありたいと、思ったのではないだろうか。
グラントという人物が「大統領」というよりも「将軍」という名前の方がふさわしかっただろうことは、こういった墓を望んだことでわかる気がするのである。