ニューヨーク、メトロポリタン美術館にあるブリューゲルの一枚に眼が吸い付けられる。
ウィーン美術史美術館の「冬の狩人」は、個人的にブリューゲル作品の中で最も好きな一枚だ。 この写真下の「収穫」は、メトロポリタン美術館の解説によると、同じ「季節シリーズ」として制作されたもの。六枚の絵うちの一枚である。
言われてみれば、この二枚には、大きさやその雰囲気に似た雰囲気が感じられる。季節とそこに生きる人の生活。「冬の狩人」の、寒くてお腹を減らして帰ってくる狩人と犬。対照的にこの収穫の風景には、太陽の陽にぬくぬくとした藁の上でひなたぼっこする暖かさが感じられる。
そして、この絵でいちばん驚かされたのは、背景の巧みな描かれ方。
そこだけ拡大したのが写真上、これだけで見るべき一枚の風景画になっている。
ダ・ヴィンチの絵の背景は巧みではあっても、それだけでこんな一枚の絵にはならないように思う。