1980年代にベルン大聖堂横のテラスが発掘されると、破壊されたたくさんの石像が発見された。16世紀前半の宗教改革まで大聖堂にあった三十以上の祭壇などを飾っていたものだとすぐに分かった。
しかし、その破壊されて捨てられていた彫刻が誰によって制作されたものなのか、それぞれを断定するのは容易ではなかった。
そんな中で、今も大聖堂の正面に残された大彫刻を制作したエルハルト・キュングの作品は、すぐにそれをわかる特徴を備えていたそうである。
それが、「しもぶくれ」。
写真上の二体のの天使は往時から現在まで大聖堂の中で生き延びてきたと推察され、キュングの作であるのがはっきりしている。
写真左下はベルン博物館に収蔵されている大聖堂正面彫刻のオリジナルより。
写真右下は破壊されて発見された祭壇彫刻の脇役であった天使の顏。これによってその祭壇全体がキュングの作と認定されていった。
もちろん専門家の目から見れば、ほかにもたくさんのキュング的要素があるにちがいない。でも、我々素人が楽しく発見できるこんな「しもぶくれ」を残してくれたのはおもしろい。あるいは、日本と同じようにこの時代の女性の顔の流行だったのだろうか?