ストックホルム市内からひと駅離れたショッピングセンターに近いアメリカンスタイルの明るいホテル。その朝食の席で泥棒がバッグを狙っているなんて、なかなか実感がわかない場所だった。
でも、いたのです。食事をしているご夫妻の前の床にドル札が落ちていて、それを指差して話しかけられて、その後、椅子の背もたれにかけてあった奥様のバッグが消えていた。
小松は観光をガイドさんにまかせ、ご夫妻と共に、まずは警察、そして、この写真の大使館へ行く。
そこで「帰国のための渡航書」の発給を要請。この書類を発行してもらうために必要な書類は下記のとおり。
・渡航書発給申請書1通(備え付け)
・紛失・焼失届出書1通(備え付け)
・盗難届出書等1通(申請前に各自で入手)
・写真2枚(45×35mm)
・戸籍謄(抄)本1通(6ヶ月以内に発行されたもの)
・航空券(予約が確認されたものに限る)
パスポートを盗難に遭って困っている人がこれだけの書類をすぐに用意できはしない。(戸籍抄本などは実質上帰国してから送ることでOKしてもらえる事が多いが)特に面倒なのは二枚の写真だろう。
今回も大使館から片道15分歩いてショッピングモールの中の写真屋さんへ往復した。この写真、大使館・領事館で撮影できるようにしてもらえたらどれだけ助かるか。そういうサービスは簡単に実行できないのだろうか。
発給手数料の三十ドル相当も現金でなければ受けないというし、日本大使館さん、パスポート盗難にあって困っている人への利便性をもう少しお考えありたし。
幸い翌日には書類を発行してもらえることになったのだが、パスポートなしで別の街へ行くことは出来ない。グループと一緒にヘルシンキへの飛行機には乗れない。
あくまでも⇒パスポートを紛失した方が緊急に帰国する必要がある場合の「帰国のための渡航書」の発給であり、この渡航書で他の都市の観光滞在は許されない。
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ご夫妻はストックホルムのガイドさん宅へホームステイすることになり、
小松は午後二時の飛行機でグループとともにヘルシンへキへ移動。
観光後に市内中心部のホテルにチェックイン。ホテルロビーにあるスペインレストランで19時から夕食。
レストランは混みあっていた。サービスが遅くて終わったのは20時半をとっくに回っていた。と、「あれ?ここにかけておいたバッグがない」と声があがった。
向かい合わせに八人ずつ座っている状態で、その列の真ん中あたりにお座りだった方。朝と同じように椅子の背もたれにかけてあったバッグが消えていた。すぐ近くに別の団体さんも食事をしていて、誰かが近づいてくれば分かりそうなもの。実に、魔法のように消えていた。中にはふたたびパスポート…。
今晩のうちにできる措置をして、さて、明日朝一番で今度はヘルシンキの警察に行こう。