ミラノよりローマ経由成田への帰国便に搭乗の日。
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きのうミラノのスフォルチェスコ城を観光している時にこの写真のカエルに目を奪われた。いったいいつ誰が描いた作品なのだろう?古い雰囲気だがなんともいきいきしたカエルの姿はどこかユーモラスでモダンにも見える。ひょっとして現代作家?
そこにBRAMANTINOと書いてあったのだが、お恥ずかしい話でブラマンティーノを知らなかったのだ。
「ブラマンティーノって誰ですか?」グループに同行しているイタリア人のローカルガイドさんに臆面もなく尋ねた。すると、英語はそれほど得意ではないらしい彼女だったが、一生懸命お話してくれた。ああ、この人はやっぱりこういった絵画や美術・歴史が大好きなのだ。
ブラマンティーノ(本名バルトロメオ・スワルディ)は、そのあだ名で現代に名前を残した。「小さなブラマンテ」つまりあのルネサンスの建築家ブラマンテの弟子の一人であったのだ。
1456年生まれというから、かのレオナルド・ダ・ヴィンチより四才下なだけである。レオナルドがミラノに居た時代にぴったり近くにいて彼の才能に薫陶を受けなかった筈はない。
ローマに出てヴァチカンのラファエロの部屋も手伝ったりしてミラノに戻り、彼独自の持ち味を発揮した絵を描き出したが、時代のトップランナーの二番手ぐらいに位置していたのだろう。
このカエルは聖母と聖人の絵の中で悪魔の代わりとしてひっくり返って描かれている。おもしろいですねぇ〜。たいていの宗教画は主役はきちんと描かなくてはならないので画一的。それよりもワルモノの方が自由に描けて面白いのであります。
ブラマンティーノのおちゃめなところが、ちょこっと発揮されているようにみえるカエルだ。
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「入場無料なのよ」とガイドさんは言ってくれたが、グループと一緒の観光時間にそれは無理・・・実に残念。
後日データを読むと、スフォルチェスコ城の二部屋にはもともとブラマンティーノが描いたフレスコ画が残っているのだそうだ。この動かせない作品がある場所に、他の作品も集めて展覧会を開いていしまおうという、まさにミラノでなくては実現できない企画。規模はちいさくてもまさに「ここだけ」の展覧会。
会期は今年9月25日まで。あああ、さすがにそれまでにもう一度ミラノには来られそうにない。かといって、城のフレスコ画は動かせないから当然展覧会は巡回しない。ましてや絶対に日本になんかやって来ない。