マッターホルンを望むリッフェルアルプを出発し、チューリヒ空港から帰国便に乗る日。
バスはゴムスの谷を通りグレッチの村からグリムゼル峠へと登っていった。おととい、落石でこちらへ降りて来られなかったので、今回はじめて通る道である。ジグザグと登っていき、頂上のトーテン湖で休憩。まだ氷がたっぷり残っている。
そして、今度は北へ向かって下り始めるとすぐ、ダム湖の上に一軒だけ建つ、我々が滞在したグリムゼル・ホスピッツが見えてきた。
「あ〜、あんな所に泊まってたんだァ」という声があがる。おととい朝は大雨だったしゆっくり景色を味わってもらう時間もなかった。
ホスピッツを横目に見て、今度はダム湖の巨大な壁が姿を現す。※写真参照
一番下に地下に向かう入口が見える。そうそう、あそこから地下道へ入っていったんだっけ。「なんだか旅の復習しているみたいね」。
そう、同じ場所を全く違う天気の日に通るのは楽しい。
マイリンゲンを通り、ブリューニング峠を超えてルンゲン湖をみおろし、ルツェルンを経由してチューリヒ空港へ到着したのは15時過ぎであった。
ツェルマットからおよそ四時間半。
ドライバーさんの話だとパリまででもドライブ時間だけなら8時間あれば行くとのこと。それなら、朝ツェルマットを出発すれば、パリまでバスで走っても23時過ぎド・ゴール空港発の成田への直行便なら充分に間に合う、ということか。
あるいは、バーゼルあたりからパリまで直行の特急に乗るのも、アリか。
でも、問題はいつも大きなスーツケースをどうするかである。
こんな事を考えていて、今回の《手造》列車とポストバスでめぐるスイスは、スイス国内へ鉄道配送出来るシステムがあることではじめて成立した旅なのだと、あらためて気付いた。
それぞれの駅の短い乗り継ぎ時間にさっと移動し、前の列車に忘れ物もせず、転んで怪我をする人もなく、本当にほんとうに幸いでした。
列車とポストバスで移動する旅はたとえ《手造》の少人数といえども胃が痛くなる時間管理の連続。今後二度目をやるかどうか分かりません。
なにせ、ひとつ間違ったらリカバリーがとても大変ですから。