《手造の旅》列車とポストバスでめぐるスイス10日、第六日目。ポストバスを利用する旅の行程は列車以上に一般の旅では実現できないものだろう。峠道を行くバスというのは対して大きくはない。※下の日記から内部写真がご覧いただけます。
http://blog.goo.ne.jp/komatsusin/e/b039d619eadbd34452f237f20ee89921それでも峠越えのポストバスを利用する事にこだわったのは、それが一番スイスらしさを感じさせてくれると思ったからだ。
★スイスは言うまでもなくアルプスの国である。
今でこそ立派な道路や正確な鉄道が国の隅々まで通じているが、ほんの百年遡れば一般の住民の足は馬車だった。
険しい山にはばまれた小さな村の共同体、これがスイスのもともとの姿なのであり、人々をつなぐ唯一の手段がポスト馬車である。
メールも電話もない時代、通信手段である手紙を運んでくる馬車が付く場所は村の人々が集まる中心となる。今でも村にポストホテルと名前がついているものがあるのはその名残だ。
馬がバスにかわっても、未だに交通手段としてはこれしかない場所がスイスにはある。そこを自分で通って体験すれば、スイスという国がどのようなものであるか、身をもって知ることができる。そう思ったのである。
余談だが、フィヨルドの入江に小さな村が点在するノルウェーでは、ポストシップが今でも運行している。夏に我々は観光船だとみなして乗っているが、冬に陸路が封鎖される時期に、これは観光船ではなく確実に昔ながらの住民の足として機能する。
スイスもノルウェーも、貧しかった時代に人々の暮らしがどのようなものだったのか、少しの日々だけ訪れる観光客であっても、少し感じてもらえたら良いと思う。