イギリスの旅では、バスで一度はビートルズの曲をながすようにしている。
ところが、今回いつものCDを持ってこなかった。しまったぁ〜しかたないかぁ〜、とも思ったがやっぱり悔しい。バースの街の自由時間でHMVへ行ってまだ持っていないビートルズのCDを買うことにした。
そう、とっくの昔に解散したビートルズには、まだまだ毎年聞いていないような音源が発売され続けている。録音のout takesもまだまだたくさんあるようで、近年では「LET IT BE Naked」なんてのもあった。
かつては海賊版でしか聞けなかったような音源も、見違えるような音質で正規に発売されはじめている。
しかし、この「LOVE」というCDはそういうものとは違う。ラス・ベガスのホテルでシルク・ド・ソレイユがやっているビートルズを主題としたショー音楽のサウンド・トラックである。
いままですでにあった音源をコラージュして新たにMIXして発売した、というわけだ。この手のMIXモノは、元のビートルズサウンドが好きな人にはちょっと心配だ。元のイメージを壊されてしまってはどうしようもないから。
しかし、しかし、この「LOVE」という作品については、MIXをほどこしたのが、ほかならぬビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンとその息子だということで安心。よし、買ってバスでかけてみようじゃありませんか。
バースでの観光と昼食を終えて出発。バスの車内でビートルズにまつわる話をする。今回のツアーメンバーには、世代的にもきっとリアルタイムで聞いてきたファンが居るに違いない。その人たちがどんな反応をしてくれるのか、とても楽しみだ。
パーキングエリアでの休憩を挟んで、ロンドンまでの高速道路。車内は静か。眠っているのではなく、聴いているという雰囲気が伝わってくる。つまらなかったら途中で止めようと思っていたのだが、結局一時間半ほどのこのCDを全曲バスでかけてしまった。それだけ飽きさせない、すばらしいMIXだったのである。
ロンドンについて、案の定、好きな人が話しかけてきてくださった。
「私はね、ビートルズの日本公演にいったのよ」
へぇえ!すごぉい!びっくり。
「だから、今かけてもらったのとてもおもしろかったわ。それに、とっても音がよくなっていてびっくりしました。」
すばらしい耳をお持ちです!小松もかけながら「もとの音よりずっと良くなっている」と感じておりました。この方も私と同じように元の音源をすり切れるほどきいてきたのだろう。
こうして、世代を超えて聴き継がれていくビートルズ。年代を超えてひとと話を出来ることが、どういうかたちであれずっと音楽を聴き続けている素晴らしさだ。