北スペインの巡礼の道を舞台にした映画。《手造の旅》北スペインで、五月に行ってきたばかり。ほんとうは行く前に見ておきたかったけれど、6月2日からの公開だったからしょうがない。
映画の公式ページは下記
http://hoshino-tabibito.com/pc/**
うまく選曲された音楽とともに、どちらかというと淡々と歩いていく主人公(達)。観光地としてみてもとても魅力がある場所なのだけれど、映画ではそういう面をほとんど画面に映し出さない。
日本でこういう風光明媚な場所を旅する映画ならば、どこかの観光局とタイアップして、映画の中にその街そのものへ行ってみたくなるようなワンカットとキャプションをいれるだろう。この映画はそういう作り方を一切していない。目的地のサンチャゴ大聖堂でさえも全体像はほとんどワンシーンだけ。実にいさぎよい。
その分だけ、ストーリーそのもの、人間そのものがクローズアップされて、心に迫ってくる。もっとも印象深かった言葉をひとつ。
「宗教と信心深さは無関係だよ」
※これ、字幕に出たのを読んだだけで、元の英語を聞き逃してしまったのだ。機内オンデマンド映画なら巻き戻せるのに(笑)。英語でどう表現しているのを訳したものなのか、知りたいです。字幕は寺尾次郎さん(山下達郎ファンにはおなじみの名前ですね)でした。
カミーノ(巡礼の道の事をこのように言う)を歩く人々は、別にキリスト教徒だけではない。フランス映画「サンチャゴへの道」では、イスラム教徒だって歩いていく設定になっている。実際ありえてもおかしくない。
実際、巡礼パスポートの発給を受けるための条件は、キリスト教という特定の宗教を必要としていないのである。
では、カミーノを行く人々に共通しているのは、どんなことなのだろう?
思うに「自分としっかり向き合うこと」ではないだろうか。
一見に値する映画です。