北スペイン、レオンでは大聖堂のステンドグラスばかりでなく、ロマネスクのフレスコ画と彫刻が詰まったこのサン・イシドロ教会も必見の場所である。
914年にこの街を手に入れたアストリア王国は、首都をレオンにしてレオン王国となる。レオンの「大王」と言われたラミロ二世が未婚の王女の行き先として創立した修道院がこの教会のはじまりだ。※ローマ時代や西ゴート時代の遺跡がそれ以前にあるが。
10世紀後半にはアルマンソールによって陥落、二度目のイスラム支配を経験したが、11世紀には再びキリスト教徒の手に戻った。
現在見られる教会は1063年に完成し、それを契機にセビリアから聖イシドロの遺骨が運ばれて、名前もサン・イシドロ教会となった。
この11世紀の部分は、現在表からは見えない。向かって左手地下・霊廟がそれで、現在では博物館となっている。色鮮やかなフレスコ画がぎっしりと残されていて見飽きない。今回ここで三十分ほどガイドさんに説明していただいたが、まだまだ見どころがあるのに気付いた。
この写真で建物中央部に見えるロマネスク二つの門は、アルフォンソ五世再建後、王女サンチャの娘ウラカが12世紀に造らせたもの。向かって右の「許し門」の彫刻は、サンチャゴ大聖堂の入口の一つを担当したのと同じ人物のものとされる。
写真左手の鐘楼はローマ時代の城壁に食い込むかたちで十二世紀につくられた。
写真右手に見える後陣部分はゴシック様式で14世紀に増築されている。