《手造の旅》北スペイン、第九日目帰国便搭乗の日
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今回の旅には明確な目的地・終着点があった。
聖ヤコブ(=サンチャゴ)大聖堂を目指して歩いた巡礼たちの気持ちを、多少なりとも感じたかったから。
サンチャゴが近づくにつれて、現在でも多くの人々が何がしかのテーマをもって歩を進めていく姿が見える。
楽な旅ではない、しかし、明確な目的地・最終到達地があれば困難に出会ってもそれを乗り越えていける。
そして、この大聖堂を見たときに、えも言われぬ達成感が湧き上がってくるのだろう。
それに比べると、人生には明確なゴールはない。
誰にでも共通した目的地などないのである。※それを「死」であると規定してしまっては、宗教にしか存在意義がなくなってしまう。
目的がない旅は、歩いていく苦労を倍にする。
「これ以上どこへもいかなくてよい」という場所をはっきり持てば、人は俄然勇気を持って生きられるようになる。
サンチャゴへの道=カミーノを歩いてゆく人々は、一歩一歩それを理解しながら歩いているのだと思う。今も昔も。