《手造の旅》北スペイン第六日目。
午前中レオン観光(大聖堂に加えて、ロマネスクで有名なサン・イシドロ聖堂と博物館へも入る)、アストルガ(ガウディの司教館が有名)、小村サンタ・カタリーナ、ポンフェラーダ泊。
今日のハイライトは、実際に巡礼路を歩いた時間である。ここまで毎日、ほんとうに多くの人々が徒歩でサンチャゴを目指しているのを見てきて、その気持ちにだんだんと感化されてきていた。少しでも、彼らの気持ちを感じたいと思えてくる。
そのために、たった二キロ程度だけれど、ちょっとした見晴らしの良い丘を、この十字架のある峠まで歩いたのである。
この十字架がいつ頃から建てられたのか、分からない。しかし、今でも、ひとりひとり旅人が故郷からもってきた石を積んでいる。五メートルにも積み上がったその上に、石の台座と木製の塔、そしてその上に鉄の十字架が安置されている。
ひとつ、ひとつ、想いを込めた石。柱にはほんの数日前に誰かが巻いていった誰かの写真とメモが貼ってあった。「R.I.P=安らかに眠ってください」の文字と共に、彼への気持ちが短い英文で書かれていて、胸が詰まる。