エア・カナダの機内映画がはじまる前に挿入されていたCMの話。
初夏、木漏れ日の気持ち良い住宅街。道路に面した広い庭先で、小学校低学年ぐらいの白人の少女がレモネードを売っている。※自分のお金は自分で稼ぎ出すということを学ぶために、よくこういう事をやっている。
そこへ東洋人の女性が幼稚園ぐらいの男の子を連れて通りかかり、レモネードを買おうとする。財布をひらくが、外国から着いたばかりなのかあいにくカナダドルはなくて香港ドルだけしかない様子。
それを察知した女の子が、「香港ドルもうけつけますよ」さらに広東語で「トーチェ、アンティ(ありがとう、おばさん)」男の子にも広東語で「どうぞ」と言ってレモネードを渡した。
”やるねぇ”といった表情のおばさん。
場面転換。店の看板に四種類の通貨でOKの看板を出している少女※写真参照。
そして、店番をしている女の子のまえに突然観光バスが止まり、香港からの団体さんがどやどやレモネードを買いにやってくる。
「HSBC香港上海銀行は仕事のチャンスを逃しません」
たしかこんなような言葉が入って短いCMは終わる。
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映画は何を見たのか忘れてしまったが(笑)このCMはとても印象的だった。
USドル、香港ドル、ユーロ、英ポンド、(※カナダ国内では現在USドルは等価で受け取ってくれるところが多い。もしかしたらこのCMはアメリカ用に作成されたものかもしれないが、それでもCM趣旨は同じ)多様な通貨を自分の通貨として受け取ることによって、自分の世界が確実にひろがっていくことを、この少女は理解しただろう。それがCMを見る人に自然と伝わる。
カナダ社会は、特に西海岸では中国人をはじめたくさんの民族が普通に共生している。自然に多文化を理解するようになってゆく。通貨においても、多文化を理解することで自分の中に取り込める情報は圧倒的に広がってゆく。
日本では…こういう環境は、ない。
それは、残念なことなのか?あるいは幸せなことなのか?
どう思われますか?