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ネェ ダンナサン の作者に出会う
2012-04-08
朝、クロスホテル18階の大浴場から見ると、札幌の西の山は今日も雪で煙っていた。屋外の見学はあきらめて、北海道立近代美術館へ行く。

やっていたのはこの「阿部典英(あべてんめい)のすべて展」。
http://www.aurora-net.or.jp/art/dokinbi/exhi/special/12/abe.html

美術館に入るなりいきなり置かれていた巨大なハリネズミのようなオブジェも彼の作品で、タイトルが「ネエ ダンナサン」という。
なぜ、そうなのか、説明されてもなかなか理解できない。写真一番下の作品も、同じく「ネエ、ダンナサン」シリーズのひとつ。

サブタイトルに「〜工作少年、イメージの深海をゆく」とあったが、いかにもそういういたずらっぽい感覚が感じられる。

等身大の鏡の箱の作品を見ていた時に声がかかった「中に顔を突っ込んでみてください、上下左右ずっと続いているみたいに見えますよ、どうぞどうぞ」

にこやかなその顔、どっかで見たなぁ、と思ったら、あれ?あ!ポスターに出ていた作家さん本人、スーツの上下なのでちょっと見違えてしまったが、まぎれもない阿部典英その人ではないか。
写真よりもずっと若々しく見える。七十過ぎにはとても見えない。また、ゲイジツカ的なコムズカシさも感じられない。確かに「工作少年」がそのまま大きくなったような雰囲気。
「展覧会が終わったら、こんな巨大なオブジェは平素仕舞っておく場所を確保するのも大変でしょう」と、ちょっと変化球の質問をしてみた。
すると「そうなんですよ、これだけ大きいとそのままじゃ、むりなので、ほら、こんなふうに(といっていきなり展示物のひとつを取り外し)ばらばらにしておけるようにしてあるんです。作るときからそうやって考えているんです」と、気さくに説明してくださった。

まわりで見ていたお客の一人は、どこぞの知ったかおじさんが作品をバラバラにしはじめたと思ってびっくりしていた(笑)

彼の経歴を見てみると、若い頃、一度は会社に就職して、長靴のデザインなどをやっている。その当時の工業デザイン作品も展示してあったが、いちばん迷いがなくストレートな「作品」に見えた。
ゲージツカにもいろいろあって、クサマヤヨイさんみたいに速球一直線で社会性をあまり考えない人も居るが、こうしうてちゃんと会社員・グラフィックデザイナーとしてもやっていける人だって居るのだ。

何より、ゲージツカであっても何者であっても、やはりお金を出してくれる誰かがいなくては成り立たない。つまりは「商品」としても成立するものを作らなくてはならない。このジレンマは超有名作家にでもならない限りずっと続いていくにちがいない。
幸い彼・阿部典英さんはそのあたり上手にこなしてこられたように見受けられた。

**
この日は、13時からの美術館ツアーにも参加、その時の様子はまた別のところにて。



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