今回3月17日のロンダ訪問で新たに認識した美しい塔。旧市街にはまだまだこういう歴史的にも美術的にも一見に値する場所たがくさんあるに違いない。
※写真、拡大してご覧ください。
四角のこの形から、ひとめでモスクのミナレットとして造られた事がわかる。後のキリスト教時代にはサン・セバスチャン教会の鐘楼として使われていたので、現在でもその名前で呼ばれている。
もっとも、本体のモスクも教会も今は無くなってしまい、ただこの塔だけが残されているのだが。
三階からなっており、一階と二階の部分は14世紀のイスラム支配時代の建築、三階はキリスト教時代の鐘楼である。
よく見ると一階部分だけが石積みで、それぞれの面で違う高さからレンガ積みに変わっている。何らかの理由で石造りが一度中断され、その後にレンガ積みで再開されたのかもしれない。
または、一度石積みで完成していたものが破壊されてレンガ積みによって修復されたという可能性もあるだろう。
入口は明らかなアラブ様式で、まぐさ石の上のところどころファイアンス(固く焼かれた色陶器)が使われている。さらに、その上の部分にはロマネスクの二連窓があり、ここにも多分剥がれ落ちてしまった装飾があった筈だ。
二階部分が終わると少しだけせり出しがあり、ここでもファイアンス装飾が使ってある。
現存するファイアンス装飾部分は少ないが、こういった繊細なデザインが塔全体の大胆なフォルムをよりひきたてていたのだと想像される。
三階部分のレンガ積みは二階までとスタイルが異なっていて、より簡易なスタイルになっていったことがわかる。
アルハンブラ宮殿もそうだが、やはりアラブ時代の方がデザインセンスは洗練されていたと感じさせる。
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ロンダは一度泊まってゆっくり徒歩観光をしなくては。もちろん詳しい現地のガイドさんと共に。