シアター・クリエにて宮本亜門作・演出・振付のミュージカル「アイガッタ・マーマン」へ。
1908年生まれのブロードウェイ・スター、エセル・マーマンの生涯をミュージカル仕立てで追った作品。
http://www.tohostage.com/merman/index.html舞台は三人の女性(三人ともマーマンですが、同時に出てきます)が演じるマーマンと、二台のピアノだけで進行してゆく。三人の声がどれも違うのにどれも素晴らしく、ハーモニーの美しさと力強さにまずひきつけられた。
無駄のない二台のピアノの演奏とバックアップ。
二十世紀のひとりのブロードウェイスターの生涯を、こんなかたちせよみがえらせたのはすごい。
日本生まれのこのミュージカルが本家本元のニューヨークでも受け入れられたというのも理解できる。
「シアター・クリエ」は25年前の初演時にもここだったのだそうだが、この規模でこの内容のミュージカルを上演するのに最適の舞台である。
前から三列目のサイドから見ていたのだが、ピアノを弾く手首の力強さまでが見える。舞台狭しと駆け回り、客席にも降りてくる三人のマーマンが劇場全体を「もっていけて」しまう大きさだ。
オペラなら肉声で充分に歌えてしまうと思ったが、三人はしっかりマイクを装着していた。あの運動量で歌うのなら息があがってしまうこともあるのではないかと思ったが、そんな苦しそうな息はまったく感じさせない。息継ぎが聞こえてくる事さえなかったのはさすがであります。
楽しそうな表情で歌い終わっても、背後で苦しそうな息がぜ〜ぜ〜きこえていたら興ざめですもんね。