今までなんどかバスの車窓から見たことのあった像を間近で見ることができた。
アルザスはこの二百年の間フランスとドイツにとったりとられたりしてきた。この像は国家の狭間で引き裂かれる家族を・個人を象徴している。
フランス語を話し、フランス人という自己認識がはっきりしていながらドイツ軍に徴兵された兄と、それを避けるためにレジスタンスに身を投じた弟。その二人が共に息絶えて母に抱かれている。
二人の手は重ねあわされている。
死して二人はやっと和解できた、ということなのか。
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12月18日のストラスブール観光では、はじめて日本人のグループについたというドイツ語を専門にしているガイドさんと一緒だった。
彼はいつもドイツ人にやるように我々を案内してくれたので、いつもの日本人お手軽コースではなく、ドイツ人も満足出来る内容の濃いガイドをしてくれた。歩くコースももちろん違う。よって我々もこの像を間近に見ることができたのである。