音楽仲間のつながりによって、鎌倉でのアマチュア合唱団コンサートへ。夜7時には新潟へ行かなくてはならなかったので、途中退席になってしまったが、楽しませていただいた。
**
おぢさんたちは大真面目だった。本当にフツーのおぢさん達である。人目を惹くアイドルはいない。びっくりするような技量で圧倒するようなスターもいない。 アマチュアの演奏会なのだから当然である。
それでも、アイドルやスターのコンサートでは成りえない楽しいコンサートだった。全員が真正面から自分をさらけ出して、歌って、演じていた。
歌いだすと、みな大きな口をあけているのは同じでも、それぞれ表情が違う。 きっと目を見開いている人、拳を握り締めて力強い人、淡々と虚空を見つめている人。それぞれに表情豊かに、自分のパートをこなしている。
みなさん、歌が大好きなんだなぁ、とほのぼのしていたが、舞台はそれだけではなかった。第一部の最後「つくば山ろく男声合唱暖」になると、突然、全員が手足を伸ばしたり縮めたり、全身を使ってカエルの真似をはじめた。そこまでまじめなフツーの合唱団だっただけに観客一同あっけにとられて、それから会場全体が爆笑ではないけれど笑顔になっている。
かえるの真似はだんだんエスカレートして、最後、おぢさんカエルたちはみんな舞台を思い思いにかっぽしている。意外性は楽しみの重要な要素にちがいない(笑)
意外性はしかし、第二部にはもっとエスカレート。
アニメソングの特集なのだが、いきなり銀河鉄道999のメーテルと鉄郎が登場。おなじみの車掌が笛を吹いて曲が始まった。
オープニング曲だけの趣向かとおもったら、まだまだ続く。アトムには手作りの鼻をつけた御茶ノ水博士、ゲゲゲの鬼太郎ではぬりかべにリアル猫娘まで登場。
サザエさんで大柄な男性団員が「お魚咥えたドラネコ」として走ってきてはもう脱帽です(爆)ここまで演じてしまう団員の皆様、その本気さに感服です。
結局、第二部はすべての曲でこの「小芝居」付で演じられ、歌われ
実に贅沢な大人の文化祭はたけなわとなっていった。
**
誰しも若い頃には人前で何かをするのを恥ずかしいと思う。しかし、長く生きているとどこかで気付く。「だれがなんと言おうと、笑われようと、こうする事が好きなのだ」と。そこから真正面から人と向き合って自分を表現することが始まるのだろう。
さらに、年月を重ねていくと、どんな事であっても表現活動をとにかく続けていけていることに感謝するようになる。今、ここにいる人たちみんなに喜んでもらいたいと願うようになっていく。自分の喜びが人の喜びとぴったり重なる瞬間こそが、人生の最高の瞬間だと気付く。
「一の蔵男声合唱団」の皆さんは、意識無意識どちらにしてもちゃんと分かっていらっしゃいました。
最高齢の方はどのぐらいだったのだろう?
年齢を重ねていくのは自分も同じ、ステージ上で歌って皆さんに喜んでもらって、それがこの世の最後の日になるとしたら・・・それこそが実は最高の生き方ではないだろうか。
プロでもアマチュアでも関係ありません。生きているかぎり、どんなかたちででも、人に喜んでもらえるコト、していきたいですね。