パリからJL406便で帰国した。
シートベルト着用サインがそろそろ点こうかという頃に、私の席あたりを担当してくれていたアテンダントの方が、こんなカードを渡してくれた。
別にビジネス・クラスに乗っていたわけではない。プレミア・エコノミーというだけである。
手書きである。それだけで、読まされてしまう。
日本ではいろいろなところで、儀礼的に「ありがとうございました」と書いてあるが、印刷でわたされる「ありがとう」にいったいどれだけの本気度があるだろうか。言葉が簡単に複製されてしまうこの時代にあっては、どうしても、そんな気持ちがよぎる事がある。
このカードを渡していたCAの人は、まだそれほど業務経験はない様子だった。それでも、長いフライトのあいだ一生懸命やっているのは、よく伝わってきていた。
疲れてはいただろうに、それぞれの席の人の名前を入れて、何枚のカードを書いたのだろう。
この先、彼女がずっとそれを続けていくかどうかは、分からない。けれど、少なくとも今日こうやって誠意を示した事は、無駄にはならない。JALにとってではなく、彼女自身にとって。がんばってくださいね。