チューリヒより帰国便に乗る日。
朝五時前にサン・モリッツを出発。今日だけは早く出ないとチューリヒ発の飛行機に間に合わない。
ユリア峠を越え、マルモラーナダムを抜ける辺りで完全に朝になっていた。このあたりは古くからの集落がいくつもあり、その中のひとつBIVIOを通り抜ける時に「あ、ここに泊まってみたい」と思ったのがこのポストホテル。
BIVIOの町はイタリア語でSTALLAという名前も持っている。グラウビュンデン州のロマンシュ語を話すエリアにある多言語の村である。こういう小さな集落での多言語文化はどのように生きているのだろう?たとえば、学校では何語で授業が行われているのだろう?
一度滞在して郷土史家みたいな人に半日ぐらい案内してもらいたいと思うのだ。《手造の旅》でなければ、そんな行程はムズカシイだろうなぁ。
有名な観光地を何度訪れても、それでその国や地域の事を理解できるわけではない。ガイドブックの記載事項を鵜呑みにしているのはつまらない。いつでも「その周辺」に目を向けていなければ、何も見えてはこない。
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午前九時、チューリヒの空港に着くとスイス人たちも出国ラッシュである。彼らは今日から長い夏休みなのだ。