「この葉書を、次にジブラルラルに行った時にまたどなたかにお出しになってください」と、Sさんから切手まで貼った絵葉書を預かっていた。
いったい何年前になるだろう、実は、以前小松がジブラルタルからSさんに葉書を送っていたから、である。
当時まだジブラルタルへなど行った事がなかったSさんは、小松が送った葉書をみて(※この写真に写した葉書と全く同じものです)「絶対ここへ行こう!」と決心。そして、十数年後の一昨年、ついにジブラルタルに来る夢をかなえた。
そこで小松が送ったのと同じ葉書を手に入れ切手まで貼り、日本に戻ってからわざわざ封書に入れて小松に送って下さった。
二年後の今年、小松も久しぶりにジブラルタルに入った。そしてまた、十数年前と同じように葉書を投函した。
こんど受け取ってもらった方に「ここへ行きたい!」という気持がうまれるとは限らない。しかし、こうゆうふうに、一枚の葉書が旅に動機を与えてくれる事がある。
それぞれの旅をいちばん輝かせてくれるのは、そういう個人的な動機なのではないだろうか。
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ひとつの旅というのは、長い人生でたまたま乗り合わせた一本の電車みたいなもの。その時は偶然でしかない。
しかし、そんな縁を大事にしていく気持が、こんな風に「旅する意味」=「生きていく意味」を少し理解させてくれる。