意外に思えるかもしれないが、ヨーロッパ大陸には猿はいない。
なので、スペイン南端のジブラルタルに唯一居る猿は観光のひとつの目玉になっている。それは我々が見るとまさに高崎山や箕面の猿と同じ。群れをつくって人間が餌をくれるところにも出没する。
観光客を乗せたバスがくると、こうして飛び乗ってきてフロントグラスから手を入れてくる。「こいつは、パスタを喰うんだよ」と、運転手ガイドのジェリーさんが笑う。彼の手からペンネをうけとって、猿は真剣な表情でカリポリたべるのだった。
欧米人はこの「ニホンザル」を見るのにわざわざバスを止めて時間をとるのだそうだが、我々日本人にはそれほそ珍しくないので、あえてバスは止めなかった。
「日本に居る猿も顔がピンクなんだよね、雪の中で温泉に入る写真を見たことがあるよ」と、ドライバーさんにはご理解いただいていた。