飛行機にてセビリアへ。
朝7時にバルセロナのホテルを出た時には雨が降っていたのだが、セビリアは気温も二十度を越えてカラッと晴れて気持ちよい。
「空港近くのひまわり畑が咲いていたから行って見ましょうか」
運転手さんとアシスタントさんからお勧めいただいたので、街とは反対の方向だがバスを進める。十分ほどで小粒だがきれいに咲いているひまわり畑が見えてきた。
ひまわり畑はバスで走っているとけっこうそこここで美しく咲いているのが見える。しかし、乗用車のようにどこでも「ちょっと止める」というわけにはいかないのがバス。「あ、ここでちょっと止めて」というリクエストにすぐには応えられませぬ。
しかし、幸いここにはガソリンスタンドがあって、そこの敷地にバスを止める事が出来る。そこまで考えて場所を選んでくれる運転手さんは頼もしい。一事が万事、であります。
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空港からご一緒していたアシスタントさんがおもしろい話をきかせてくれた。
「スペインでもひまわりは『ヒラ(ヒラール=まわる)ソル(=太陽)』と呼ばれていますが、実際に大きく咲いた花は太陽の方向を追ったりしないのです。花がまだ咲ききらない小さな時には太陽の方角を向くのですが、大きく咲いてしまうと、どうやら重たくてまわしていられないらしく、一日中東の方角を向いているのです」
へぇ、知らんかったぁ。
それなら、ひまわり畑を訪れるには午前中が良いのですね。今日はそういう意味でも良い時間帯であった。
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セビリアの町へ入り、昼食前にスペイン広場で下車。ここは1929年のイベロ・アメリカ博覧会のメイン会場だった場所。90年を経てレンガもタイルもぼろぼろだったのだが、ここ十年ほどで見違えるほどきれいになった。
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食事の後、セビリアの英語ガイドさんと共に大聖堂などを見学へ。
世界第三位といわれる巨大な大聖堂空間には、いつ行ってもまだまだ知らなかったストーリーが見つけられる。
今回は、モスク時代からあるオレンジの中庭に置かれた泉水盤。二段になっているうちの上部は、明らかに下部よりも古い。支えている部分は真新しいが、花輪のようなデザインの磨り減り方が年月を語っている。
「西ゴート時代の教会だった頃のものですよ」と現地英語ガイドさんが教えてくれた。こういう事はそんじょそこらのガイドブックなんぞには載っていない。
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セイビリアから四十分ほどで、今日の宿泊地カルモナのパラドールへ到着。ここはこれまで何度も泊まったがなかなか気に入った街と宿。
食事前の時間に、もちろん街を散策。
※昨年11月の写真を以下にご覧下さい。
http://www.tour.ne.jp/blog/komatsusin/17356/今日はこの時に比べてずっと日が長く、気温も暖かい(時に暑いほど)。一時間程歩いた後にビールがとてもおいしそう。
20:30からの夕食を終えて、ようやく紺色にくれていく平原を、パラドールのテラスから見下ろしている。ここは崖の上にあるのだ。
濃い紺色になっていく地平線上にさらに黒い雲がかたまっている場所があり、そこから時折ピカピカと稲光が見えている。あの辺りは雨が降っているのだろう。 遠雷が稲光よりずっと遅れて空に響いてきた。