ドーバーの海に面したホテルにチェックインしたのは午後八時前だった。陽が長いのでまだまだ明るい。海を見下ろす崖の上にはドーバー城の城壁が長々と続いている。
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《手造の旅》イングランド9日出発。飛行機はJL401便11:45発。料金はBAやVSの方が安かったのだが、帰国日を有効活用できるのでJLを選択。
15:30ロンドン・ヒースロー空港到着。
入国などの後16:30過ぎにドーバーへ向かう。ロンドン周辺の道路混雑はあったが二時間強でドーバーの海が見えてきた。
「ドーバー海峡」という言葉は誰でも知っているが、実際にそこに何があるのか、説明してくれる人はほとんどいなかった。
結果、およそ15年前にブライトンから日帰り観光ツアーをつくって訪れた時に手に入れていた資料がかなり役に立った。「断捨離」ブームだけれど、捨てないでおいてよかった(笑)。
ドーバーは大陸と最も近い場所で、紀元前一世紀クラウディウス帝時代からローマの町が建設されていた。さらにそれ以前の青銅器時代の船なども発掘されており「ラングドンの財宝」と呼ばれる。それは旧市街中心部・マーケット広場にある「ドーバー博物館」賀収蔵しているのだそうだ。ふむふむ。
夕方八時半から町へ散歩に出ると、その発掘品の写真と説明がマーケット広場に表示され、すぐちかくに「ドーバー博物館」があった。古い建物であまり活気は感じられないが、いずれにしても今回は見学時間はとれない。
せめて町をあるいてみよう。
マーケット広場からゆるやかに海と逆の方向に続くかつて19世紀の繁華街。いや、今も繁華街なのだが、テナントがないスペースに落書きのシャッターが目に付き、ここも地方都市の斜陽の雰囲気が感じられる。
そんななかで圧倒的に存在感をはなっていたのは、やはり教会。資料を読んでみると、なんと11世紀に建設されたファサードそのものである。ロマネスクの装飾が美しい。
それから、説明版に1814年の銅版画が載せられていたのを見て、今歩いているこの通りがかつては川だった事に気付いた。
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21時過ぎにホテルへ戻る。こういったリゾートホテルには、旧市街で感じられた斜陽の雰囲気は、ない。海にむかって開けたテラスでビールを飲む人々はのんびりとして余裕がある。
我々もしばし、ビール。22時過ぎ、やっと完全に暗くなった頃、部屋に戻って就寝。
長いフライトの後だったけれど、散歩してよかった。ドーバーを少し体感することが出来た。