午前中四時間かけてルーブル美術館を見学。たぶんこれが限界時間だろう。ここに一日中いても人間が一度に受け入れられる量は増やせない。食事と同じで満腹になったら無理しない事。
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このミロのヴィーナスには説明に時間をさいていただき、いつも以上に面白く感じた。そして、この言葉をきいてちょっと愕然とした。
「このヴィーナス、私がここ二十年見ているあいだでもはっきりと崩れてきています。膝の辺りとか背中のあたりとか、昔の写真と比べるとよくわかります。」
へええ、そうなのか。そうなのだろう、やっぱり。二千五百年近くも昔のものがずっと同じ形で存在し続けることのほうが不自然なのだろう。
以前、日本にこのヴィーナスが来た時に、日本側のスタッフとして搬送に携わった方が新聞に書いていた事を思い出した。
「梱包を解いてみると、腰の辺りの石が小さくはがれているのが見つかり青くなっフランス側の担当者に知らせたが、接着剤でぺろっとくっつけてそれでおしまい、だった」そうな。
彫刻でさえも劣化するのだから、絵画についてはもっと劣化していくスピードは早いにちがいない。我々が今の時代に見ているものは永遠にあり続けるわけではない。
「世界遺産」などと祀り上げて、後世にそのまま遺していこうという考え方自体が、実は自然の摂理に反しているのかもしれない。
人も物も、すべては移りゆくものなのである。
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通常のコース+小松のリクエストで中世フランス彫刻のセクションを加えていただき、13時にルーブルの地下にあるフードコートで昼食。
その後、少々買い物などの時間。
19時にアブサントという店にて最後の夕食。
ここのオマールエビのグラタンが実においしかった。