3月21日朝の写真。
雨上がりの気持良く晴れた中アグリジェント遺跡を歩いていた。
そのとき、上空をすごい速さで飛行機が飛んだ。写真など撮る暇もなかった。小さな飛行機は海側から、つまりアフリカの方から北の空へ突き抜けていった。
「ああ、あれは、きっとリビアから帰ってきた軍用機ですね。爆撃した帰りかもしれませんね。」とガイドさんが言った。
ちょうど、多国籍軍がリビアを爆撃した報道をテレビでみたばかりだった。
テレビのニュース画面でだけ見ている存在が、こうして自分自身の目の前に現れる。シチリアはリビアに最も近いヨーロッパなのである。
カダフィ側だろうと反対勢力側だろうと、そんな事は爆撃される市民にとっての悲劇になんの変わりもない。 今、目の前を飛んでいった飛行機がリビアの国民に血をながさせ、その帰路にのんびり遺跡観光をしている我々の頭上を飛んで帰還する。