アグリジェントの博物館にたくさんあった豊穣の女神デメテルの像。テラコッタで作られていて、それぞれ少しずつ違うがだいたい同じスタイルをしている。
神殿への奉納物だと思われるが、それにしても同じようなスタイルをしているのは何故か?
ローマの穀倉といわれるようになる以前からも、シチリアは農産物の実り豊かな土地であった。 農業を営む人々にとって、豊穣の女神は必ずお参りするべきものだったにちがいない。
現代でもそうだが、多くの宗教において神殿には神様の巨大な像が置かれている。そして、よくお土産や奉納にあるのが、そのミニチュア品。
これは想像だが、アグリジェントの神殿にもそんなデメテル女神の巨大な像があったのではないだろうか?
そのミニチュアが神官たちによって売られていて、家に持ち帰って拝むとか、あるいは神殿に願い事とともに奉納するとか。今と同じ事が行われていたのではないだろうか?
神殿にあっただろう神像の本体は?…きっと象牙や金や貴重な宝飾品で飾られていたに違いない、それは、もちろんまっさきに略奪されてしまっただろう。