パレルモのの大聖堂は(多くの歴史ある教会がそうであるように)いろいろな時代に改築されているので、ひとくちにその年代を言い切ることはむずかしい。
改築者のなかに、フェルディナンド・フーガの名前をみつけて、すぐに思い出したのはローマ四大バジリカのひとつ、サンタ・マリア・マジョーレ教会であった。
この写真、左側がパレルモ大聖堂のクーポラで、フーガが手がけたとされているもの。写真右はローマのサンタ・マリア・マジョーレ教会のクーポラ。 そう思ってみると、同じ人物のデザインであるように見えてくる。
フーガは1699年生まれ。バロックの大巨匠ベルニーニが死去した翌年にフィレンツェで生まれている。つまり、彼が徒弟修業をはじめて17歳でローマに出てきた時にはすでに現在見るようなバロックのローマになっていたということだ。
フーガは生涯に二回パレルモを訪れており、このクーポラはその二度目に手がけたもの。年齢は八十歳を越えていただろう。ローマのマジョーレ教会を手がけてから、およそ四十年の後の事だ。
どうなのだろう、両方ともほんとうに同じフーガのデザインなのだろうか?
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ローマのマジョーレ教会を少し調べてみる。
改築には、フーガの前にもちろん巨匠ベルニーニもかかわっていた。※なんせ、ここはベルニーニファミリーの菩提寺でもあるから
1669年、ベルニーニは巨大なクーポラをかけるプランを持っていたようだが、それは着工される前に法王クレメンス9世が没して実現されなかった。
現在見られる左右一対の小さなクーポラは、ベルニーニの半世紀以上後のフーガ時代のものと推察したわけであります。これ、全くの素人考え。現場へ行って教会のガイドツアーに参加して質問すれば、いっぺんに明らかに出来るのになぁ・・・。そんな日はいつくるのでしょう。