アリタリア航空の出発時間は当初より二時間半遅れて14:00になっている。
偶然に宿泊する事になった「関空温泉ホテル」は、あまり期待していなかったがけっこう良かった。特に朝食は多彩な手造りの和食・おふくろの味といった風情。温泉よりもこの朝食のためにもう一度泊まりたいほどおいしかった。
午前中ゆっくり天然温泉と思ったけれど、ホテルから空港へのバスは、午前中10:40発が最後ということで、それに乗ることになった。
関空へ到着したのは11:00過ぎ。
出発予定の14時まで三時間もあるから、さっとチェックインして余裕だと思っていたのだが、すでにカウンターには長蛇の列ができている。
これは飛行機一機分を優に超えている人数ではないかい?
放射能汚染を恐れたアリタリアの、ここ数日の欠航や大幅な遅れによって乗れなくなっている人たちも同じ列に並んでいるらしい。 三十分以上もカウンターを占領している一組もいる。そういう対応は普通のチェックインより当然時間がかかるのだから別の列にしてくれれば良いのに・・・。
一時間ほどたった頃、アリタリアもやっと気付いたらしく、列を二つにわけはじめた。
時計の長針はあっという間に二回転半。
我々がチェックインして搭乗券を受け取った時にはすでに出発時刻まで三十分もなくなっていた。
実際にゲートで搭乗案内がはじまったのは14:45。飛行機が離陸したのは15:30。二時間半遅れのフライトはさらに一時間半遅れで飛び立ったのである。
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機内でほっとしていたのも束の間。スクリーンのフライト案内を見ていると、ローマへの到着予定時刻は20:35となっている。
我々の乗継パレルモ行きの便は21:05発。入国に荷物検査を経て国内線のゲートへ向かうのだから、三十分ではまず間に合わないだろう。こりゃあ今晩はローマに一泊することになるのかしらん・・・。なんとなく皆さんにも覚悟していただくように雑談する。
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ローマに到着してすぐに飛行機を出ると救いの神が待っていてくれた。「PALERMO」と書いた紙を掲げたアリタリア航空のスタッフ。つまり、我々を乗せるまでパレルモ行きは待ってくれるという意志表示である。
到着時間も実際には20時を少しまわった程度で、一時間の時間がある。通常でも急げば間に合うだろう。
しかし・・・スーツケースは?自分で急いではくれないからなぁ。
心配しつつ乗り込んだ飛行機だが、時差には勝てなくて飛び立ったのも知らず眠りに落ちていた。一時間ほどのフライト、気付くともうパレルモのオレンジ色の街の灯りが窓の外にみえはじめている。22時過ぎ、ついにパレルモに到着!
パレルモの空港のターンテーブル前では、案の定アリタリア航空のスタッフがにこにこして待っていた。
相手が用件を話すまえに、こちらから「予想してました。多分、ですよね?」と言うと、「そうです。でも、あと四十分で次のローマからの便が着きますからお待ちになりませんか?皆さんの荷物が積み込まれたのは確認されていますので。」と言う。
四十分の後、この写真の要に「RUSH(急ぎ)」タッグを付けられた我々十人分のスーツケースも無事にパレルモに到着したのであります。