〜きのう3/11の続き

18：00過ぎ。
「東北大地震」で、首都圏の電車はすべて止まってしまっている。
新宿支店のスタッフは、とにかく今は様子を見ようということで、コンビニで食料を買い込んだりして長期戦のかまえである。

家が埼玉県草加市の小松はどうするか迷っていた。ここから自宅までどのぐらいの距離があるのか？

iPhoneでとりあえず検索してみるとまず上野まで8.5キロ、徒歩での所要時間は一時間四十五分。上野から自宅へは、距離比較からみるとさらに13キロ程度あるだろうか。
全部で20キロと少し、徒歩ならば五時間みておかなくてはならない距離である。
どうする、歩くか？それともここで泊まる？

こういう「お泊り」というのは、ちょっと遠足みたいな気分だけれど、翌日を寝不足・疲労で無駄にするのがとてももったいない。

新宿を出たのが午後六時半だった。

しかし、まずもって新宿から上野方向へ行くのにどの道をとればよいのかが分からない。iPhoneのナビが歌舞伎町の方向へ誘導してくれなければ、もっと迷っていた事だろう。

歌舞伎町を抜け、新宿三丁目から大江戸線のルートに沿って歩き始めた時、この写真の光景に出くわした。墓地を支えるコンクリートの壁が崩れ、墓石とその下の骨壷もいっしょくたに散乱している。

※こんな被害がたくさん起こっているのか･･･と思って通りすぎたけれど、その後はこういう崩落現場を目にすることはなかった。

大江戸線の駅「若松河田」「牛込柳町」と歩いていく。同じように歩く人がたくさんいるので、こうして帰宅難民として歩いているが緊急事態であるようには思えない。

道路に面した飲食店もふつうに開店しているところも多い。吉野家は「材料がなくなってしまったのでやむなく閉店ですー」と、店頭で係員が説明していた。一軒の中華屋は「WELCOME 帰宅難民！」と手書きの紙をはってあったりした。

飯田橋からしばらく外堀通り
小石川、後楽橋、本郷、春日通り、
ここまでくると先日いった「旧岩崎邸」への案内板があり
そろそろ上野が近いと実感する。

上野駅についたのは8時半ごろだっただろう。
ここから先の交通機関が、もしかして復旧していないかと駅の様子を見に行こうとしたが、シャッターが下りていて入れない。

駅周辺にぐるっととぐろを巻いている行列はいったいなんだろう？っと思ったら四号線を北上するバスが動いていたのだ。
・・・しかし、この行列に並んでいては、いったいいつ乗れるのか皆目見当がつかない。それに、四号線も渋滞している。

一瞬だけ並ぼうかと思ったが、すぐに初志をとりもどし、再び歩き始めた。

上野から北千住までは四駅。
入谷鬼子母神あたりまでくると、「もうすこし」という気がしてくるのだが、実際には全体の行程の半分というところだった。

＊＊
ひとつ問題がでてきた。ここまでちょこちょこ位置情報を確認しながらきていたので、iPhoneの電池が少なくなってきている。

四号線を北千住まで行くルートは迷いようがないから、人の流れと一緒に北上していく。

北千住駅への案内表示が出てきたところで、iPhoneを開いてみると、ここから四号でなくおぐばし通りを目指すような指示となっている。
人の流れから離れてあるいてると、うしろからバスが走ってくるのがわかった。え？どこへ行くバス？
行き先表示を見ると西新井の近くまで行く。
よし！なんとか乗り込むべし。
追いかけていってバス停のところで停車しているのに間に合い、座席に座ってほっとした。そう、このバスはけっこう空いていたのである。