国土交通省から表題のアンケートが全国の旅行業者に送られてきた。
旅倶楽部「こま通信」での国内旅行は、一昨年10月の「美味しいオホーツク」一本だけだから、直接の利害関係はほぼ無い。
しかし、これからも無いわけではないので(※すでに《手造の旅》国内もいろいろアイデア企画しております)、しっかり内容を読んでみた。すると、貸切バスの現場がかかえる様々な問題が見えてきた。
質問4:貸切バス事業者の届出運賃・料金を意識していますか?
こういう質問が出るというこは、届出運賃以下の料金での受注が横行している事実があるにちがいない。
貸切バス業務は、平成11年から12年にかけて免許制から認可制へと規制緩和。これによって業者の数は1.8倍になった。 需要供給を調整して業者の数を制限していた制度はもうない。
しかし、仕事の量は増えるどころか減っている。
旅行業者が「格安ツアー」を量産するために、バス業者を天秤にかけて料金を叩きやすい環境にあるわけだ。
質問15:貸切バス事業者の営業区域を考慮して発注していますか?
バスの営業区域は都道府県事になっており、行程の起点もしくは終点がその業者の営業区域になっていることが受注の条件となっている。
東京の上野発で栃木の日光へ行く貸切バスは、埼玉しか営業区域を持てない弱小バス会社には受注できない仕組みである。
これもまた需給関係をコントロールする為であり、労働条件を守ることも目的にしている規制と言えるだろう。
だが、草加市のバスが上野発の日光ツアーの仕事をしても無理はないのだし、こういう規制は大手のバス業者が受注したものを下請けに流す状況下では有名無実である。
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2007年に大阪で起きたスキーバスの事故を契機に、貸切バス業界の過酷な実態に世間も少しは目を向けだした。
http://www.chosakai.co.jp/alacarte/a07-03.html国土交通省もバス業界への監視を強めようとしているが、それ以上に旅行業界からの圧力を問題視しはじめた。
http://www.unso-sr.com/topics/2010/09/post-536.htmlしかし、問題の根本にあるのは会社への滅私奉公を美徳としてきた日本の労働意識にあるようように見える。
19世紀後半のヨーロッパでは、産業革命が生み出した劣悪な労働環境が原因で、徴兵された兵士の健康状態さえ悪化していく状況だった。
ここから労働環境の改善の取り組みがはじまり、現代では非常に厳しい監視のもとに労働者は守られている。
小松もツアーでその現場をいつも見ている。
十二時間以上の運行の場合には、たった一時間の延長であろうとも実際に運転手が交代しております。