昨年12月のパリ、クリュニー中世美術館で見た木彫のマリア像がはっと気になった。何度も行った場所で、何度か見たものであっても、突然本当に目に見えてくることがある。
その11世紀頃のマリア像は、暗い部屋に照明も満足に当てられずに置かれていたのだが、今回は自分の視線をひきつけた。
その日の自分の状態によって、または自分の理解が及んできてはじめて理解できるのであろう。
写真右側がそのマリア像の衣の部分。
顔つきは全く違うのでだまされてしまうのだが、これは日本の仏像彫刻ととても似ている。
写真左側は室生寺の国宝薬師如来の衣である。
パリから電車で三十分ほどで見ることが出来るシャルトル大聖堂の彫刻はもっと顕著に仏像似だ。それは有名でよく指摘されている。
しかし有名なものばかりが面白いのではない。ガイドブックでは全然言及されないものであっても、楽しめるものはたくさんある。