夜23時過ぎのエール・フランスに搭乗する日。
午前中はベルサイユ観光、午後は19時半のホテル出発まで自由。
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朝8時にホテルを出た時にはまだ夜が明けきっていなかった。がらがらに空いたシャンゼリゼを通ってベルサイユへ向かう。
サン・クルーの町からトンネルを抜けると、一変して雪の世界になっていた。やはりパリ郊外はけっこうな積雪である。
バスもスピードを落として走っていくが、なんせ道がすいていたので9時前には宮殿前の駐車場に到着。ざくざくと雪を踏んで入場口へ到着したが、入場予約時間の09:55まで45分以上もあった。
「入場時間を早められるかきいてきます」とガイドさんが交渉してくださったが、こんな日でも日本人、中国人をはじめアジア勢の予約は多くて変更は不可。
外で待ち続けるのは寒すぎるので、「ご希望の方はカフェへ行きましょう」と声をかける。と、結局全員24名をひきつれてカフェの扉を押すことになった。
そんなに広くない店内、席があるかとても心配したが、幸いテラス席(ちゃんと屋内です)にまとまって座ることができた。三十分ほど暖かい飲み物を手にゆっくりする。こういう時間も実は充分旅の楽しみなのである。
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予約時間に宮殿に入場。
約一時間強、しっかりと案内していただく。今日はこの後に特段の予定はないので、ガイドさんも「いつもより多く喋っております」という雰囲気であります。
同じ「半日観光」でも、時間の余裕のあるなしで、ずいぶん印象はかわってくる。
再び駐車場からバスに乗り、パリ市内のホテルに到着したのは正午を少しまわったところであった。
昼食は、希望の方とオペラ座近くの中華レストランへ。パリ三越が閉店しても、すぐとなりのこのお店は安泰。頻繁にではないが長年行っている店なので安心である。
午後二時をまわり、オランジェリー美術館へ入場。きのう買ったミュージアムパスの二日券で入ることが出来るのでお得。ここも今日は時間がたっぷりあったので、かねがねゆっくり聴きたいと思っていた日本語のイヤフォンを借りた。
日本で行われる展覧会でイヤフォンを借りると、多くは短すぎる解説でがっかりするのだが、ヨーロッパではそういう事はない。「全部で何分間におさめよう」という予定などはないようで、一時間あってもとても全部は聴ききれない充実度である。
オランジェリー美術館は、小松が個人的にパリでいちばん回数を多く行っている美術館だが、まだまだ魅力は尽きない。
午後六時ごろ、ホテルのロビーに戻ってくる。
空港へ行くための集合は19時半なので一時間以上時間がある。
皆さんもお疲れでありましょう、だんだんと戻ってきて荷物を整理している。「もうあとは飛行機に乗るだけ」という旅の終わりの雰囲気の中…あってはならないハプニングが起こってしまった。
※この件についてはまたあらためて。
帰国便にはお二人を置いて乗らなくてはならなくなってしまった。