ミラノ市内観光、昼食後ヴェネチアへ。
スフォルツァ城の一室にぽつんと展示されているこの聖母子像。誰もが「レオナルド・ダ・ヴィンチの作品だよね?」と思う。1495年に描かれたこの絵は、この写真を見るだけでもそういう雰囲気が感じられるだろう。実際、長くダ・ヴィンチ作品だと考えられていた。
モナ・リサをはじめ、多くのダ・ヴィンチ作品と同じく、この作品もまた木の板の上にテンペラで描かれたものだった。よりよく保存する為1758年に布地のカンバスに移し変え(いったいどうすればそんな事が可能なのか)、その時の木枠にもダ・ヴィンチ作品だと裏書されている。
英語の解説に添え書きには「oil on canvas(transfer)」とあるが、専門家でなければどんな経過をたどってきたなど想像つかない。
ご一緒していたガイドさんが説明してくれたところによると、近年の詳しい研究によりレオナルド本人ではなく弟子の一人に描かせたものであるらしいことが判明したそうだ。
絵も描くが多彩な才能を持つダ・ヴィンチは、膨大だっただろう注文に自分の手だけで応えることは不可能。 見込みのある弟子にはその力を発揮させるチャンスを与える事も重要。この作品は全体の構図構成をダ・ヴィンチが描き、仕上げを弟子に任せたものであったらしい。
つまり原画はレオナルドだったのだ。ならば、半分ぐらいは「レオナルド作」と言えるかも? でも、絵画価値は天と地程の差なのだろう。
再び英語の添え書きを読んでみる。
描いたのは通称Francesco Napolitanoと呼ばれた人物で1501年には亡くなっている。
相当に上手かっただろう彼だけれど・・・巨星レオナルドの影にはこんな人物たくさん存在したに違いない。