世田谷美術館で開催されている「ヴィンタートゥール美術館展」へ。
ヴィンタートゥールへは一度だけいった。その時地元の方に案内してもらって見学した美術館の所蔵品がきているものだと思っていたが、違った。
チューリヒの外殻都市で長く裕福な住人の住むこの町にはいくつも注目すべき美術館があるのだった。
十数年前に一度だけ訪れたあの美術館は、すぐ近くにある別のコレクション、オスカー・ラインハルト美術館だった。
あの時はホルバインやクラナッハなどクラシックな作品をたくさん見た記憶があるが、今日のヴィンタートゥールコレクションは19世紀絵画を中心にしている。
いろいろな作品があったが、いちばん印象にのこった一作は、ありきたりながら、ゴッホが郵便配達人ルーランを描いた肖像。オルセー美術館のよそ行き肖像とは違う、どちらかというとありのままのルーランを描いているという印象。
背景のあざやかな黄色、濃い伊紺色の服の色、そしてゴッホ晩年の孤独や狂気のサインである(と、見える)、エメラルドグリーンが美しい。
この色合いの美しさは図録やポスターではまったく伝わらない。ホンモノ見るしかないです。