午前中、東照宮をめぐる。
二時間の専門ガイドさんをお願いしたいが、それでも家光の墓所のある大猷院まで行く事はできない。
ただ歩いていくだけなら二時間あれば全部まわれるのかもしれないが、せっかくなら理解して見学したいではないか。
ガイドさんと待ち合わせは開山の勝道上人の像の前。
金谷ホテルからそこへ至る道に、日本三大名橋のひとつとされる神橋がある。赤い橋が美しく高くかかっている。
ここは勝道上人が荒れた大谷川を渡ろうとした時に二匹の大蛇が出現して橋になったとされる場所だそうだ。
大谷川をわたってしばらく登っていくと輪王寺。
創建はこの大蛇によって大谷川をわたる事が出来た勝道上人による八世紀とされる。
東照宮が建立されるずっと以前から日光は霊場だったのである。
ガイドさんと輪王寺の本堂などをまわる。
一部に東照宮よりも古い仏像はあるが、徳川時代以前のものはほとんど見られない。
あとから買った東照宮のガイドブックにも輪王寺については書かれていない。「別の場所」という事である。
※二社一寺についての詳しい解説本を探したが、周辺のお土産やには満足できるようなものはなかった。
本堂、護摩堂を経由して表参道に出る。
坂の上に東照宮の門が見える。
南には江戸城、南西方向には駿府岡崎城にいたる立地。鬼門を封じる目的でここが選ばれた。
正門はしかし鳥居からまっすぐの位置には見えない。
わざと六度だけずらした位置に建設された。
「完全とはつまり崩壊の始まり」という思想に基づいている。これはスペインのアルハンブラ宮殿でも同じ。やはり各所に一箇所だけバランスを崩したデザインがされている。
日本最大の石鳥居は九州から運ばれてきたもので高さ九メートル。掲げられた額の大きさが畳一条だそうだ。
これをくぐると左に五重塔。内部には巨大な芯柱が吊り下げられており、これが免震構造となっている。今建設中のスカイツリーも似た構造だとか。
表門を通り、正倉院を模した倉が三つ。
馬屋にあたる建物に彫られているのが有名な三猿の彫刻。これはサルが運んできた食べ物で馬の病気が治った故事による装飾だそうだ。
その向かい側の倉の破風にこの写真の「像」が描かれている。狩野探幽さん、なかなかユニークです。