その一生一度のスイス旅行。マッターホルンの見える展望台へ行ったその日、天候に恵まれるとは限らない。 時には二泊三日のツェルマット滞在中まったくマッターホルンが見えない事だってあるのだ。
展望台の写真屋さんが天候の悪い時でも「マジック」をかけてきれいな山にしてくれる話は以前に書いた。下記参照。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20080720今年7月もちょっと雲がかかっていたので「マジック」をかけてもらうようにお願いした。
その時こんな風に訊ねてみた。
「今日みたいに『ちょっと雲がかかっている』ぐらいのところを修正するのならそんなに気にもならないでしょうけど、ほんとに全く見えない日だったら、いくらマジックかけても写真なんか売れないでしょうね?」
しかし、答えは意外なものだった。
「いや。そんな全く見えない日の方が皆さんお買い上げだったりするんですよ。 人物は帽子から雨が滴ってぶるぶる震えているのに背景は青空にくっきりマッターホルンが写っているという面白い写真になるわけです(笑)」
たとえ自分が見ていなくても「こんな風であるはずだった」という写真が撮れるならそうして残しておきたい、そういうのが人間の心理なのかもしれない。
写真屋さんの商売というのも「真を写す」というものではなくなってきている昨今であります。
写真は「マジック」かかっていない2010年7月某日のマッターホルンであります。
※このあたりの事はまたあらためて書きたいと思います。