朝9時15分ルツェルンから出発し、チューリヒ空港発13時のスイス航空で帰国の途へ。
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ルツェルンのホテルへ我々を空港まで送ってくれるバスがやってきた。「ハロー、グーテンモルゲン!」と挨拶して握手した運転手パトリックさん。
彼の後ろにもうひとりはにかんで笑っている助手が隠れていた。
「息子のマニュエルだよ、はい、挨拶して」
小学校低学年ぐらいだろうか、ませたところなど全然感じられない純朴なスイス少年といった雰囲気である。
日本でなら、団体旅行の運転手が仕事のバスに息子を乗せてやってくるなど考えられない事だろう。 が、ヨーロッパでは今までにもなんどかこういうケースはあった。
子供だけでなく奥さんが乗っていたり、はたまた奥さんでない女性が乗っていたり(笑)。
ルツェルンからチューリヒへの一時間程の間、私のとなりの席にすわったマニュエル君は、運転席のおとうさんに楽しそうに話しかける。
近くの湖でどんな魚がとれるとか?そんな話?よく分からないドイツの語の会話だが、きっと我々を送った後に釣りに行くでも行くのかもしれない。晴れた日曜日の朝である。
空港に着いて我々のスーツケースを下ろす時には、マニュエルくんも一人前におとうさんを手伝っていた。
公私混同と言いたくば言え。
夏休みの息子がお父さんの仕事をちょっと垣間見る機会を得て、とても嬉しそうにお手伝いしているのだ。 とがめる気になどなるものか!