エディルネを出発し、昼にはイスタンブルに到着。
少し早めにまだ空いているレストラン街へ向かう。
トルコは黒海と地中海に囲まれた位置にあり海産物も豊富なのに、トルコ人はあまり魚を好まない。 国民全体が肉食嗜好であるのは、彼らがもともと中央アジアにルーツを持つ民族だからだろう。
それでも、イスタンブルにはこの写真のように充分なバラエティの魚が売られているし、おいしい海鮮料理もある。
思えば、今回の旅ではじめての魚料理。マリネやフライ、串焼きが主で刺身などはまったくないが、「やっぱりほっとしました」というのは日本人の正直な感想にちがいない。
ここでは、日本ではまず食べられないトルコ料理の一つがムール貝のピラフ詰め=ミディエ・ドルマ。これを是非食べていただきたかった。
**
レストランを出てにぎわうイスティクラル通りへ出る。
二駅だけトラムに乗って移動し、そこからガラタ塔の近くまで細い道を歩く。少人数だからこういう行動も可能。
ガラタ塔からの眺めはイスタンブルの眺望の第一にあげられるだろう。金角湾をはさんでトプカブ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスク、スレイマニエモスクなどがずらりと並んだパノラマが楽しめる。
この塔は少なくとも1400年には現在と同じように存在した。
あたりまえの事だが、我々と同じ視界でこの町を眺めていた人々が何百年にもわたってあったわけだ。
***
テュネル(トンネル)と呼ばれる1875年開通・世界最古という地下鉄に乗りガラタ橋ちかくのカラキョイへ降りる。
そこから今度はトラムに乗り換えて、ガラタ橋をわたりブルーモスクまで登る。そこからトプカプ宮殿まで歩く。バスで走るよりもこういう移動が楽しい。
トプカプ宮殿はクルーズ船の乗客で混みあっていた。
それでも、別料金のハレムの中は割りに空いている。ハレムへの入場を入れたのは、ここのタイル装飾がとびきりの必見だからだ。
さらに宮殿の奥では、今年は「トルコにおける日本年」ということで、展示室のひとつで日本から持ってきた展示物が公開されていた。
浮世絵、甲冑、といった定番のものの中にトルコが日本皇室に贈った金刺繍の菊の紋入りの壁掛けが目をひいた。
日本や中国・韓国からの磁器を展示する厨房は現在建物を修復していて入れない。ここの建物もまた建築家シナンの手になるもので、現在煙突をシナン時代のかたちに戻す修復が進められていた。
***
18時過ぎてホテル・チュランパレスにチェックイン。
高級ホテルは数あれど、ここは間違いなくイスタンブルで別格の宿だ。ボスボラス海峡が見える部屋でゆっくりすごす時間をたのしんでいただきたいと思う。
一度は火事で焼けた宮殿は、日本の建築会社によってみごとに修復され、「トゥーラ」という名前で営業している。アメリカ大統領はじめ国賓級の方々が訪れる場所で、今晩は我々もここにて夕食の席を予約してある。