アッシジではさほどめずらしくない12世紀からあるらしき家の前で、地元ガイドのルイジさんが立ち止まった。
「この家、誰の家かしってるか?」
彼はよく試すようにこういう質問をしてくる。今朝もこのての質問をたくさんされて、幸いほとんどには答えてこられたのだが・・・ううん、この家については知らないなぁ。
「これはフランチェスコの親友・ベルナルドの家だよ。フランチェスコが父親に着ていた服さえ叩き返して勘当されたその日、行くところをなくした彼を泊めてやったんだ」
へぇ、そんなリアルな話がちゃんと残っているですな。
「翌朝、ベルナルドはフランチェスコと共に家を出てしまい、最初の弟子になったそうだよ」
ここまで聞いて思ったのは、ベルナルドの両親の事。
行くところがないというから親切に泊めてやったのに、息子も一緒に家出をすることになるなんて、フランチェスコはとんだ厄介者だったに違いない。