イタリア、ローマの外港であるチヴィタヴェッキアに伊達藩からの使節として到着した支倉常長。
彼の肖像画をボルゲーゼ美術館が所蔵しているというのは知っていたが、実際何度ボルゲーゼ美術館を訪れてもこの絵が飾られていることはなかった。
ボルゲーゼ美術館でこういうサムライの絵を期待している人は少ないだろうから致し方ないのだが、ずっと残念に思っていたのである。
今回「ボルゲーゼ美術館展」が開催されるときいて、「もしかしたら来ていないかな・・・」と思っていたが、展覧会のホームページの「本展のみどころ」には全く触れられていない。
http://www.borghese2010.jp/viewpoint.html・・・残念だなぁ、と思っていたら、見学してきた方が「そういえばあった」と教えてくださったのである。
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これはどうしても見たい。
ポスターになっているラファエロの作品よりも支倉常長に会いたくて3月9日の雨の日、閉館一時間前に訪れた。
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とてもすいている館内。
しっかりと対することが出来る。
以前から見ていた印刷物からのイメージは、そんなにサムライ然としてものではなかったし、いかつくもないし、ことさら堂々としているわけでもない。男前というのでもない。
形容するなら「あっけらかんとした顔」である。
この図録から少々拝借した写真でもそんな印象なのではないだろうか。
しかし、実物のこの絵の表情からはもっと違う気持ちが伝わってくる。 それは彼が苦難の末にローマまでたどり着いた事を知って見ているからそう見えるだけなのだろうか?
そうなのかもしれない。
しかし、少なくとも「あっけらかんとした」だけの人ではなかったと感じさせてくれる。
本物を自分の目で見てはじめて伝わるものはある。
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以前から出版されている本には、この絵はクロード・デリュという人が描いたと紹介されているが、今回の図録に載せられた最新の研究結果によると、アルキータ・リッチというイタリア人の筆になるものとされている。