朝4時過ぎ、ヘルシンキのホテルでテレビをつける。
遠くカナダのバンクーバーで行われているオリンピックの開会式の生中継。7時過ぎに朝食へ行くまでの三時間でちょうど見ることができた。
先住民族を意識する昨今の世界の流れから、なんらかのかたちで「彼ら」を登場させるだろうと思っていたが、予想以上に「彼ら」を全面に押し出した演出であった。
カナダやオーストラリア、ニュージーランドといった国々の現在は、まちがいなく移民してきた白人達によって築かれていった。しかし、それは同時に先住民達を追いやる事になっていった・・・そんなことは誰でも知っている。
その為に、オリンピックという世界に向かう舞台で「彼ら」を全面に出した演出をしたのだろうか?
いや、そうではないだろう。
カナダ人たちが、ヨーロッパのコピーでない独自の文化は何かと自問し始めた時、「先住民文化」というのが自然にたどりつく結論だった。
かつて自分達が弾圧していたものそれこそが、現在の自分たち独自の存在証明であるという皮肉。
しかし、負のイメージとしてではなく世界に見せる事が出来る時代になったということを、現在に生きる私達は喜んで良いのだと思う。
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午前、ヘルシンキ市内観光。
25年ぶりとも30年ぶりとも言われる大雪で、おとどし全く雪のなかった時とは別の町のようである。
17:20発のフィンランド航空で成田へ向かって出発。